遺言 〜父から息子に贈る言葉〜

もしも父さんが突然この世からいなくなっても
決して悲しんではいけない 泣いてはいけない
お前は男の子だ 強くたくましく生きてくれ

父さんはいつだってお前や母さんを空の上から
優しく見守っているんだから

お前が何かに躓き 挫けそうになっても
いつもお前の傍にいて励ましてあげる
お前が辛くて人生に疲れたときも
いつもお前の背中を押してあげる

世間の誰もが信じられなくなっても
父さんだけはいつだってお前の味方だ
自信を持って前向きにやるんだ
父さんだけはお前のことを信じている

ただ忙しさに感けて仕事ばかりで ろくに遊んで
あげられなかった父さんをどうか許して欲しい
お前とゆっくり話せなかったことを許して欲しい

だけどわかってほしい 
父さんも必死で頑張っていたってことを
本当はお前ともっとキャッチボールがしたかった
いつか大人になったお前と一緒に酒を呑みたかった

だけどわかってほしい 
たとえお前には父さんの姿は見えなくても
たとえ写真でしか逢えなくなったとしても
ずっと父さんはお前のことを愛している

この世に何の未練もないが 
ひとつだけ心残りがあるとしたら
それは母さんのことだけだ 
母さんにあまり苦労を掛けないでくれ
母さんは強そうだが あぁ見えて本当は弱いんだ

いつか空の上で話せる日が来たら 
生前できなかった話をいっぱいしてあげよう
だから親より早く来てはいけない
一日でも長く母さんより生きてくれ

お前に伝えたい言葉は山ほどあるが 
お前がここに来たときまで大事にとっておくよ

最後にこれだけは約束して欲しい 男同志の約束だ
母さんのこと くれぐれも頼んだぞ
俺が幸せにできなかった分 お前にそれを託す

もうそろそろ迎えの時間が来たようだ
それじゃあ もう逝くよ 
                  父さんより

Kazakoshi Original 2007.12